尾上総合高等学校    取材日:2018年10月18日  取材者:総務課 髙村 玲

芸術と豊作の秋 田んぼアート平成最後の稲刈り体験

 平成5年に村おこしの一環で始められ、全国的にも有名になった田舎館村の「田んぼアート」は今や村一番の観光資源となっている。その田んぼアートからごく近い場所に立地する尾上総合高等学校では、一年を通して田んぼアートに関わり、様々な体験学習を行っている。
同校は名前の通り総合学科高校であり、そして県内でも珍しい三部定時制で、生徒個人ごとの興味対象に合わせたカリキュラムを実施している。この体験学習も生徒が社会に目を向ける大切な機会でもある。
 生徒たちは、6月には田植え体験を行い、7月の見頃宣言のイベントにも参加してきたのだが、今回いよいよ稲刈りを実施するとのことで、記者は田んぼアート第二会場に向かった。この日は、普段は三部に分かれて授業を行っている全校生徒が一緒の時間帯に活動をする三部合同の日でもあり、集団活動の中ではとても貴重な一日なのだという。

 今年のテーマは、第一会場が「ローマの休日」、そして生徒たちが関わってきた第二会場は生誕90周年を記念した「手塚治虫キャラクター」ということで、おなじみのアトムやジャングル大帝、リボンの騎士、ブラックジャックや手塚治虫本人の顔が田んぼいっぱいに大きく描かれている。夏には、様々な色の稲で描かれた美しいアートが観光客を楽しませたのだろうが、この日はすっかり黄金色に変わり落ち着いた色合いのアートに変わっていた。ちなみに、高い展望台に上らなくてもアートはしっかり判別できることが分かった。

 開会式では、担当の石岡先生から諸注意があり、稲刈りの手順を確認していた。各自、手に手に鎌を持ちいよいよ稲刈り体験スタート。

 記者も生徒らと一緒に田んぼに足を踏み入れると、前週の長雨の影響なのか田んぼの泥はまだ完全に固まっておらず長靴が軽く沈み込むような状態。黄金の稲穂をかき分けながら進んでいく。
 生徒たちは、早速しゃがみこんで稲刈りに没頭するひと時。

 この日生徒たちが稲刈りするのは、手塚治虫の顔の右側背景部分。生徒が6月に田植えした部分で、実りの秋らしくつがるロマンの稲穂はすっかり頭をたれていた。

 初体験の一年生は鎌の扱いが慣れず、おぼつかない様子。稲の根元に鎌を当てて、手前に引くようにというアドバイスで、だんだんスパッと切れるようになってきた。
手を切らないようにね。

 上級生は、慣れた様子で稲をどんどん刈り取っていた。中には田んぼの奥の方までどんどん刈り進んでいく早業師も。稲穂の向こうから生徒の真剣な表情を垣間見る。

 刈り取りの様子を紹介します。生徒は、ズボンに泥がつくのもかまわず本当に一生懸命。

 刈り取られた稲が、田んぼの畦にどんどん積み重なっていくと次は稲束を6本~8本の束にして結んでいく。手ごろな稲束ができあがると田んぼに刺した棒に高く積み重ねていく。

一連の作業が終わると、田んぼには稲棒(ボッチ)が立ち並び、秋らしい見慣れた田園風景が広がっていた。快晴の岩木山も生徒たちの活動を見守っているようだ。

 第二会場のすぐ横には、田んぼアート駅という駅があり、色鮮やかな駅舎がこれまたアートの町らしい風景を作り出していた。電車で訪れる観光客たちを楽しい気持ちにさせる粋な駅であった。

 思えば台風続きとなった平成最後の秋、奇跡的な快晴は生徒の普段の心がけのお陰だろうか。この日、秋晴れの太陽がいっぱいに降り注ぎ、中には立ちくらみをおこすほど頑張る生徒もいたようだ。記者も久しぶりの日光ですっかり日焼けした一日だった。
 地域の大人や保護者に支えられ、恵まれた観光資源を持つ田舎館で精力的に活動を展開する同校の取り組みをこれからも応援しています。